用語辞典

「HRD」の意味

HRDは英語のHuman Resource Developmentを略したもので、日本語では人的資源開発と訳されます。 組織の目標達成に向けて人的資源を有効活用するため、能力開発、スキル開発、リーダーシップ開発などを通した人材の育成を図る戦略的アプローチと位置付けられ、組織の生産性、収益性、効率性などを改善するための重要な手法と考えられています。 多くの理論を基盤とした研究によって定義が様々にあります。しかしながら、それらの定義についてはきちんと合意がなされているとは言い難いのが現状です。組織理論の数だけ組織があるという考え方をすれば、組織は日本国内だけではなく、世界中にあり、その数だけ、理論が生まれる可能性があると言えます。 例えば、NadlerはHRDを、従業員の行動が変化するように設計された特定の期間行われる一連の組織活動であると定義しています。それに対し、McLaganは個人が現在、または将来の職務を遂行できるコンピテンシーを確認・評価し、計画的な学習を通して開発することであると捉えています。また、Wilsonは組織の目標を達成するために、人的資源の有効性を高めるために行う個人やグループ、組織での学習であるとしています。Chalofskyは学習重視のインターベンションによる開発や応用を通し、人や組織の成長や有効性を最大化するための個人やグループ、組織の学習能力向上のための実践や研究であるとしています。 このように定義は様々であり、この分野は絶えず変化し続けながら今なおその発展の途上にあると言えます。 しかしながら、学習とパフォーマンスという2つのパラダイムから考えることができるという点は共通しています。日本では人的資源開発は人材育成という包括的な言葉と関連付けて理解されることが多く、もともと、人的資源開発が注目されたきっかけが、景気の後退期にあったアメリカが、当時、経済成長が著しかった日本の企業を研究したためであると言われています。